神戸市営地下鉄の新車について(現時点での調査まとめ)

先日、このようなプレスリリースが神戸市交通局からあった。

市営地下鉄「新型車両デザイン総選挙」!!

平成30年度から、西神・山手線を走る新型車両のデザインを投票で決めるというプレスリリース。現時点では、3つの車両デザインのコンセプトのみ公開されており、車両デザインは10月16日(日)に名谷車両基地で行われる「交通フェスティバルin名谷車両基地~B-FREE~」で発表され、翌日17日(月)に詳細な情報が発表されるようだ。投票は、B-Free会場と、ウェブ投票が神戸市交通局沿線NAVIにて行われるようだ。詳細は、プレスリリースを見ていただきたい。

この際に、新型車両導入に関する事柄を整理したい。書き忘れ等があれば申し訳ない。
また、参考資料も掲載したので、そちらも合わせて読むといいと思う。

 

新型車両導入のスケジュール

・2015(平成27)年度→発注(済)

・2015(平成27)~2017(平成29)年度→詳細設計・製造開始

・2017(平成29)~2022(平成34)年度→納入

・2018(平成30)年度→運行開始

[文献1][文献2]などを参考にした。

川崎重工業で28編成168両が製造される。価格は約243億円(消費税込)、1編成あたり約8億円である。

契約内容:神戸市高速鉄道西神・山手線車両購入

 

新型車両導入の目的

・車両の老朽置きかえ

西神・山手線では、1977(昭和52)年の開業時に導入した車両が現在も走っている。また、最新型の3000形も導入から20年以上経過している。神戸市交通局では、車両の耐用年数を40年と定め、20年で機器の更新を行う方針をとっていた[文献3]。しかし、後述の理由から、40年に満たない車両や、20年経った車両も機器の更新をせずに新型車両で置きかえるようだ。

なお、2009(平成21)年時点では、2017(平成29)年度から1年に2編成ずつ、20年かけて古い車両を置きかえる計画を立てていたようだ[文献4]。

・ホームドア対応

神戸市営地下鉄には、ホームドアが設置されている駅が1駅もない。しかし、ホームからの転落事故は毎年10数件発生しており、国土交通省も利用客が10万人/日を超える駅にはホームドアの設置を推奨している。神戸市営地下鉄において、該当する駅は三宮駅のみだが[文献1]、将来的には全駅にホームドアを設置して、西神・山手線においてもワンマン運転を実施することを検討しているようだ[文献2]。三宮駅のホームドアは、平成29年度中に稼働を開始する予定。

車掌が手動で操作するホームドアを導入した場合、停止位置の確認や扉開閉の操作を行う必要があるため、停車する際に要する時間が20秒ほど長くなってしまう。三宮駅のみに導入するのであれば、所要時間にはそれほど影響しないが、全駅に導入するとなれば、所要時間が大きく伸びてしまい、ラッシュ時の車両不足などが懸念される。システムを改修することで、停止位置の精度を高めたり、西神・山手線の車両は、ホームドアについて考慮しておらず、改修にかかるコストが大きくかかってしまうため、現有車両にホームドア対応の工事を行わないようだ。新型車両の導入に合わせて、停止位置精度を向上させる装置を線路部に設置するようだ[文献5]。

海岸線については、設計が新しいので、ホームドア設置の際に車両を大きく改修する必要はないようだ[文献6]。

・バリアフリー対応

西神・山手線の車両では、3両目と4両目の2ヶ所に車椅子スペースが設けられているが、新型車両では6ヶ所に設置を検討しているようだ[文献2]。また、車両とホームの段差も縮小するようだ[文献7]。

・サービス向上

座席幅の拡大や[文献7]、案内表示装置の設置を検討しているようだ[文献1]。

[文献1]のイメージイラストによると、客用扉の上に液晶ディスプレイが2つ設置されるようだ。現時点では、何箇所に設置するかなどの詳しい情報はないが、札幌市営地下鉄の車両に設けられている液晶ディスプレイの写真を参考に掲載しておく。

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・省エネルギー化

「照明類のLED化」や、「機器類の効率化」が挙げられている。車内照明にLEDを使用した編成はすでにあるが、新型車両は当初からLED照明が設置されるようだ[文献1]。

・安全性の向上

『最新の車両技術を備え、信頼性の向上・火災対策基準への適合など安全性の向上を図ります。』[文献8]とある。

 

現有車両の置きかえ計画

・平成29年度から搬入が始まり、平成30年度から34年にかけて、現在走っている全ての編成を置きかえる。

・4年間かけて置きかえる理由について

鉄道車両は、車の車検のように「重要部検査」「全般検査」という検査を4年に1度行う必要があり、その検査を行うための費用は1編成あたり5000万~6000万円になる。西神・山手線には28編成があるので、1年で7編成の検査を4年周期で行っている。そのため、検査が切れた車両から新車に置き換えていくために4年かけて新車を入れる計画をしているようだ[文献2]。

参考文献

[文献1] 平成27年度神戸市交通局予算(案) (PDF)

[文献2] 平成27年決算特別委員会第2分科会〔26年度決算〕(交通局)

[文献3] 神戸市交通局 高速鉄道安全報告書2015 (PDF)

[文献4]平成21年決算特別委員会第3分科会〔20年度決算〕(交通局)

[文献5] 平成28年企業建設委員会

[文献6] 平成21年決算特別委員会第3分科会〔20年度決算〕(交通局)

[文献7] 平成27年企業建設委員会

[文献8] 神戸市交通局 高速鉄道安全報告書2016 (PDF)

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